GREE 出身の台湾人起業家リディアが語る、エンジニア不足時代のグローバル人材戦略

皆さん、初めまして。私は台湾でHRテック企業を経営しているリディアと申します。現在、台湾で IT・デジタル人材に特化した求職サイト「Yourator」を運営しており、2016 年から始めて、今は 5 年目になります。弊社では人材紹介だけでなく、台湾系スタートアップや日系ベンチャー企業、シリコンバレー系スタートアップの、台湾における開発センターや運営拠点の立ち上げを支援してきました。今回の記事では、コロナ前後の台湾の人材採用事情および採用トレンドについてお伝えします。

GREE 出身の台湾人起業家リディア


コロナの影響で企業がIT化の必要性に迫られたり、世界のSaaS企業が事業拡大したりと、求人市場におけるエンジニアの需要は高まるばかりです。かつ、リモートワークの普及によって、人材採用活動は、地域に縛られることなく一気にグローバル化が進みました。そのことは台湾の人材市場にも大きな影響を与えています。

 

以前は、日本のシステム開発会社や下請け企業などが人件費を抑えるために、ベトナムやミャンマー、フィリピンや台湾などで開発センターを設置したり、現地の開発会社に委託したりすることが当たり前でした。しかし、現在はアメリカや欧州各国、シンガポールなどの企業のIT人材ニーズが高まっているため、元々人件費が安かった地域でも、IT人材の年収が一気に高騰しています。台湾のエンジニア人材に対して、シリコンバレーやヨーロッパと同じ給与水準を提示する採用企業も続出するほど。エンジニア需要に対する供給の数が少ないため、欧米企業によるアジア拠点の設置目的は、もはやコスト削減ではなく、純粋に開発リソースを確保することになっているのです。

 

大勢の企業が同様水準の採用条件を提示し、極めて希少なエンジニア人材(特にデータ系やAI系の人材)を競い合うという状況が、台湾で起きています。では、この競争にどうしたら勝ち抜くことができるのかというと、その答えは「エンプロイヤーブランディング(Employer Branding、採用ブランディングのこと)」にあります。


台湾を含むアジアに拠点を置く外資系企業は、本国で有名であっても、現地でも知名度があるとは限りません。また、ヘッドハンティングサービスを使っても、エンジニア求職者の多くは同時に複数の企業からオファーをもらうため、企業の魅力を十分に伝えられないと入社を拒否される可能性が高まります。そのため、採用活動と共に採用ブランティングキャンペーンを行うことは、台湾において重要な施策とされています。



たとえば、インタビュー記事やビデオなどのコンテンツ施策をはじめ、オンラインのセミナーやオフィスツアー(OpenHouse)など、あらゆる求職者向けのマーケティング施策を行い、採用管理ツールで数値を測定し、採用ブランティング戦略を行います。そのため、人事担当者は採用活動において、マーケティング職種と同じようなプロモーション戦略や数値分析の知識を備えなければなりません。

 

ただし、採用ブランディングは料理を作ることと同様に、「素材」がかなり重要です。素材が良ければ料理は格段に美味しくなります。そのため、採用ブランティング活動と合わせて、企業内部の組織作りも重要です。求職者にとって快適な仕事環境や、やり甲斐のある仕事、魅力的なキャリアパスを提供することも、グローバル人材戦争に勝つためには必要な要素です。

 

優秀な人材を採用できなければ、企業は生き残っていけません。ポストコロナの時代では、たとえどの国で会社を経営していても、基本的に全世界の企業と人材獲得の面で競い合いの状況です。優位性のある人事戦略を立てて実行することが、経営者にとって今後さらに不可欠となっていくでしょう。


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