アジアのデザインプロダクトを世界へ発信!台湾発スタートアップPinkoiで働く魅力

おうちで過ごすことが多くなってきている我々の新しいライフスタイルの中で、EC市場が急成長しています。おうち時間をより豊かに快適にする、ルームウェアやお取り寄せグルメなど、おうちにいながらショッピングを楽しむ傾向が多く見られます。そんななか、台湾発のスタートアップであるピンコイ株式会社は、アジア圏を中心とした海外のデザインプロダクトをデザイナーから直接購入できるサイト「Pinkoi(ピンコイ)」を展開。越境で商品を購入できるサービスは、日本市場ではまだ数少ない存在です。サイトにはユニークでデザイン性の高い商品が溢れ、サイト内の記事やバナーなど、その一つひとつにもこだわりが感じられます。この世界観を支えているのは、デザイナーたちの手掛けるアイテムを愛するピンコイ株式会社のメンバーたちです。同社の日本地域統括マネージャーとしてチームを率いる別所ゆかりさんに、「Pinkoi」の魅力や社内カルチャーについてうかがいました。



――事業内容について教えてください。


別所さん:アジア最大級の海外通販サイト「Pinkoi」を運営しています。このサイトでは台湾、香港、中国、タイなどアジア圏を中心とした世界中のデザイナーたちによるデザインプロダクトを購入することが可能です。現在の会員数は全世界約320万人、商品数は約160万点、発送対象国は世界93カ国に上ります。

台湾が本社のPinkoiは、「世界中のデザイナーの力になりたい」という思いを持った3人の台湾人によって2011年に立ち上がりました。掲げるビジョンは、「優れたデザインを通して、自分らしいライフスタイルへ」。この実現のために、才能豊かなデザイナーたちに国境を越えた活躍の場を提供し、デザインの力で人々の生活を彩るお手伝いをしています。

また、台湾本社では「Pinkoi」の運営以外にも、ワークショップ事業や文化創造産業への投資をグローバルに展開しています。他にも、私たちはデザイナーを応援する様々な取り組みをしているのですが、最近は新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた新た取り組みを開始しました。

4月から6月末までの期間限定で、「Pinkoi」で販売時にデザイナーが負担する成約手数料を15%から5%へと引き下げました。これによってデザイナーの利益率を高め、経済や環境に対する不安を抱えるデザイナーをサポートしたいと考えています。


――台湾をはじめとするアジアの国々のアイテムを日本にいながら購入できることは、大きな魅力ですね。ただ、海外からインターネットを使って物を購入する場合、品質に不安を感じる方や、要望の伝え方がわからない方もいそうです。

所さん:まず、品質に関しては、誰でも「Pinkoi」に出店できるわけではなく、審査に通過したデザイナーのみ出店可能にすることで一定の品質を担保しています。特に重視しているのは、高いデザイン性があるかどうか。「Pinkoi」は“デザイナーズプロダクト”のプラットフォームなので、ユニークで個性的な商品を揃えることにこだわっています。

だから他のショッピングサイトでは見つけられない商品と出会えるんです。本当に厳選されたものだけが買えるので、お客様から「セレクトショップのようですね」と言っていただけることもあります。

次に、もし商品購入の際に何か要望があれば、サイト上の自動翻訳機能を使ってデザイナーに直接連絡することができます。欲しいと思った商品のデザイナーと、サイトを介して直接やり取りできるこの購入体験自体も、「Pinkoi」の魅力のひとつですね。

メッセージのやり取りに使える簡単な中国語や英語表現も、サイト内(Pinkoiマガジン)で紹介しているので、それを使ってデザイナーとのやり取りを楽しまれているお客様もいます。

時には、デザイナーたちが商品を梱包するダンボールにオリジナルイラストを書いてくれたり、手書きのメッセージを添えてくれたりすることも。もし、ご自身でやり取りするのが難しいという場合は、経験豊富な日本人や日本語が堪能な台湾人スタッフがサポートさせていただくので、安心してご購入いただけます。

▶2019年に開催された台湾シューズブランド「HTHREE」と「Pinkoi」のコラボレーションイベント


―ピンコイ株式会社には、どのような理由で入社される方が多いのでしょうか。


別所さん:大きく分けて3つあります。ひとつ目が、台湾に元々興味があり、台湾の良さをもっと日本人に伝えたいという日本の方。ふたつ目が、日本で暮らすうちに台湾デザインの魅力に気付き、台湾の良さをもっと世界の人々に知ってもらいたいと思う台湾の方。3つ目は、デザインそのものが好きな方。特にアジアのユニークなデザインプロダクトが大好きで、「Pinkoi」を通じてそれを世界に広めたいという方です。

私自身は、学生時代に台湾へ留学した経験もあり、大好きな台湾に関われる仕事がしたいと思い転職しました。私のように、自分の好きなものに関わる形で仕事ができているメンバーが多いと思います。


――現在の社員数と、どんなメンバーがいるのか教えてください。

別所さん:6人の台湾人と4人の日本人が働いており、そのうち2人は台湾本社から遠隔で日本チームとして働いています。私が入社して驚いたのは、メンバーたちが決してネガティブなことを言わないこと。仕事上で悩んだり困ったりすることがあっても、「まずはやってみよう」「もっと良くしてみよう」とポジティブな姿勢で挑んでくれます。

また、みんな楽しむことに全力投球で明るい人ばかり。そして、仕事に対してこだわりを持っている人が多いです。たとえば、台湾本社で開催されるデザイナー向けの年末パーティーは、毎年テーマやドレスコードを変えたり、ロゴやお土産を作ったりと、細部までこだわって作り上げています。 “やる時は徹底的にやる”というマインドを、様々なシーンで感じられますね。


▶オフィス外観(写真提供:渋谷キャスト)


――社内カルチャーについて教えてください。

別所さん:最もよく言われているのが、「家族優先」のカルチャーです。台湾は日本と同じアジア圏ですが、Pinkoiの働き方は典型的な台湾企業と違い、どちらかというと欧米に近いかもしれません。残業をするよりも、短時間で効率的に業務を終わらせられる方が評価されます。

これは、Pinkoi CEOのPeter Yenが米国のYahoo本社で働いていた時に、家族や自分の時間を大事にするシリコンバレーの文化に感銘を受けたことがきっかけです。今でも彼は、どんなに忙しくても18時に退社して、自宅で夕飯を食べることを徹底しています。リーダー陣が率先して行動してくれるので、他のメンバーも同じように家庭優先で働けていますね。

他には、「チャレンジを重視する」カルチャーがあります。弊社はスタートアップなので、新しいアイディアやチャレンジは非常に歓迎されます。100%の完成度を最初から目指すのではなく、マーケットやユーザーの反応を見ながらその都度改善していこうという意識がPinkoiグループ全体で強いです。

プロジェクトを進める時も、全拠点がチャットツールのSlackによって繋がっているため、国やチームの垣根を越えて様々なアドバイスが飛び交います。みんなで良くしていこう、みんなでチャレンジしていこう、という雰囲気が浸透していますね。

最後に、「声を上げる」カルチャーがあります。間違っていると思うことや必要だと思ったことは、周りの目を気にせずどんどん発言することが推奨されています。日本人は空気を読んだり忖度したりしがちですが、その必要はまったくありません。

組織構造がフラットなので、たとえCEOに対してでも、違うと思ったことは伝えて大丈夫。メンバー一人ひとりが自分の意見を持つことが、チームや会社全体のためになると考えているため、意見を言うことは歓迎されています。


▶オフィス内観(写真提供:co-lab渋谷キャスト)


―現在、日本地域統括マネージャーとして働かれていますが、このポジションで入社されたのですか?


別所さん:入社時は、前職の広告代理店の経験を活かせるマーケティング担当でした。日本地域統括マネージャーに就任したのは、入社して9ヶ月後です。私の前任者だった社員が産休に入ったことで日本人社員が私だけとなり、自然な流れでこのポジションを任されることになりました。

突然リーダーという立場になったことに戸惑いもありましたが、それよりも目の前の仕事に取り組むことに精一杯でした。日本地域統括マネージャーとしての業務内容は多岐にわたりますが、今後2年間の大きな目標は、新規会員登録者数と売り上げの増加です。日本市場の場合は競合他社が多いので、「Pinkoi」というサービス自体の認知度を高めなければなりません。

そのために、実際の商品に触れられる機会をこの2年間で増やしていきたいと考えています。新型コロナウイルス感染症の影響でどこまでできるかは課題ではありますが、イベント開催なども行い、ぜひアジア中の素晴らしいデザインや商品を伝えたいですね。


▶2018年に大阪で開催した「Pinkoiマーケット」には、台湾から48ブランドが出店した。


――そもそも別所さんが台湾に興味を持たれたきっかけは何だったのでしょうか。


別所さん:全学生の3分の1が留学生という大学に入学したのですが、そこで初めて友達になったのが台湾人の女の子だったんです。私にとって初めての台湾との出会いでした。彼女をはじめとする台湾人の友人たちは、みんな日本に詳しくて面白い人ばかり。付き合っていくうちに、台湾自体にも興味を持つようになりました。

大学の卒業条件には1年間の留学があったのですが、入学当初に予定していたイギリスから変更して台湾に留学。振り返ってみると、私の人生は台湾と出会ったことによって180度変わりました。今、仕事で日々台湾に携わることができて、とても幸せです。


――最後に、別所さんが仕事の中でやりがいを感じていることと、今後の目標について教えてください。


別所さん:やりがいを感じることは、メンバーたちと一緒に探し出した素晴らしい商品が、日本市場で受け入れられたりSNSで話題になったりすることですね。また、日本市場に課せられている高い目標に挑むなかで、チームとしての成長を実感できる瞬間に大きな喜びを感じます。

私の今後の目標は、直近1年で社員数を急激に増やしたので、メンバーがパフォーマンスを十分に発揮しつつ、楽しみながら働ける環境を作ること。今年の夏から産休を取得予定なので、それまでにチームを作り上げ、産休から復帰後もチーム一丸となって頑張っていきたいと思います。


【編集部コメント】

アジア最大級の規模を誇る海外通販サイトとして、世界中のユーザーから愛されている「Pinkoi」。他では見つけることができないような、個性的でデザイン性の高い商品に出会うことができます。台湾では、Pinkoiのことを知らない若者はいないと言っても過言ではないほど人気です。2020年に行われた台湾のHR領域ニュースメディア『Cheers』の調査によると、Pinkoiは「若者の憧れる企業ランキング」のEコマース部門で1位に選ばれました。台湾の若者たちにとって、サービスと働き方共に魅力的な会社なのです。

今回、日本法人であるピンコイ株式会社の取材を通じて感じたのは、デザイナーたちの活躍の場を支えるスタッフたちもまた、仕事に対して強いこだわりを持つ、職人のような人たちだということです。プロフェッショナルとして仕事に向き合う姿勢、台湾やデザインプロダクトが好きという気持ち、お客様により良い商品を届けたいという願い。こういったことを大事にできる人が、この会社で活躍できるのではないかと思いました。


【企業プロフィール

ピンコイ株式会社

台湾発・アジア最大級(商品数:約160万点、ショップ数:約16,000店)の海外通販サイト「Pinkoi(ピンコイ)」を運営する。世界各国のデザイン商品をデザイナーから直接購入することが可能。台湾、香港、中国、タイなどアジアの最新の雑貨やファッションに出会うことができ、会員数は全世界約320万人、発送対象国は世界93カ国に上る。「Pinkoi」はECサイト事業のほか、ワークショップ、文化創造産業への投資などのサービスをグローバルに展開している。アジアを中心としたデザイン市場のビジネスエコシステム(事業生態系)を広げ、国を越えた理想的なライフスタイルを提案できるサービスを目指す。


【別所 ゆかりさんプロフィール

別所 ゆかり

ピンコイ株式会社 日本地域統括マネージャー

大学生時代に台湾大学への留学を経験。ネット広告代理店に新卒で入社した後、デジタル総合広告代理店を経て、アジアの優れたデザインを日本に広めるべく、2018年6月にピンコイ株式会社へマーケティング担当として入社。入社1年目から日本地域統括マネージャーを務める。

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