【採用担当必見!】在留資格認定証明書の申請や変更、更新方法|行政書士監修シリーズ

外国人の方を雇用する場合、どんな手続きが必要かご存じでしょうか? たとえば海外にいる外国人を採用して日本に呼び寄せる場合、「在留資格認定証明書」の申請を行う必要があります。 また、日本に留学へ来ている学生を採用する場合、在留資格の変更の手続きを行う必要があります。 今回はそんな「在留資格認定証明書」の申請や、在留資格の変更と更新について解説します。


【目次】

  1. 在留資格認定証明書の申請について
  2. 在留資格認定証明書交付申請書について
  3. 在留資格認定証明書の変更と更新について
  4. まとめ


1.在留資格認定証明書の申請について

海外にいる外国人を採用した場合、日本に呼び寄せるための手続きを行います。その際に、査証(ビザ)取得のために必要なのが、「在留資格認定証明書」の申請です。

「在留資格認定証明書」とは、英語ではCertificate of eligibilityといいます。

これを取得するためには、まず外国人の来日前に、受け入れる雇用機関の職員(企業の人事担当者など)が申請代理人となって居住予定地、受入れ機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理局にて申請を行います(この際、取次申請の資格がある行政書士などに依頼して申請をする事も可能です)。

申請を受けると、日本に上陸を希望する外国人が、入国管理法7条1項2号に規定されている上陸条件である①在留資格該当性と②上陸基準適合性の要件に適合しているかについて法務大臣が審査を行います。

①在留資格該当性とは、採用後に外国人が従事する仕事内容が、取得する在留資格に該当するかということを指し、

②上陸基準適合性の要件とは、外国人の学歴や職歴が取得する在留資格に該当するかということを指します。

審査の結果、上陸条件に適合する場合にのみ交付される証明書が「在留資格認定証明書」です。標準処理期間は約1〜3ヶ月とされています。

ただし審査状況になり追加資料の提出を要求される時もあり、その場合は審査期間が長くなるため、余裕を持って申請することをオススメします。

ちなみに在留資格「高度専門職」の場合は優先的に処理されるため、他に比べて審査期間は短いです。


雇用主は「在留資格認定証明書」が交付され次第、原本を採用予定の外国人に郵送します。

受け取った外国人はこの証明書と必要書類を持って、母国の日本大使館や領事館に行き、査証(ビザ)発行の申請を行います。

台湾の場合は、公益財団法人日本台湾交流協会台北事務所または高雄事務所で手続きを行います。

審査期間は各々場所によって異なりますが、経験上、通常は1週間以内に行われるように思います。

ただこれも審査状況によって追加資料を要求されることがあるので、その場合は審査期間が長くなることもあります。

また、提出の時点ですでに上陸許可基準に関する事前審査が完了している状態なので、査証(ビザ)を発行してもらうことが可能ですが、事情によっては発行されない場合もあります。

発行された査証(ビザ)は、パスポートに貼ってもらえます。


査証(ビザ)発行の際の注意点は、「在留資格認定証明書」の有効期限は3ヶ月間だということです。

もし紛失しても再発行はできません。

そのため、「在留資格認定証明書」を受け取った外国人は、なるべく早めに査証(ビザ)発行の申請を行うことが重要です。


査証(ビザ)を無事得ることができたら、日本で就労予定の外国人本人が、それを持って日本に向かいます。

日本の入国審査の際に入国審査官が確認し、そこで許可してもらえれば入国ができます(入国管理法では、査証はあくまでも上陸条件の1つとして規定されているため、査証を持っているだけで無条件に上陸できるわけではありません)。

また、入国許可されると在留資格や在留期間が記された在留カードを正式に交付されます。

引用:出入国在留管理庁


2.在留資格認定証明書交付申請書について

▶在留資格認定証明書交付申請書

出典:法務省ホームページ「在留資格認定証明書交付申請書」の7「【研究】・【技術・人文知識・国際業務】・【技能】・【特定活動(研究活動等)】・【介護】・【特定活動(本邦大学卒業者)】」より


在留資格認定証明書交付申請の申請書の様式および提出書類は、申請する在留資格によって異なります。

そのため、採用する外国人が該当する在留資格と、その在留資格に定められている上陸許可基準への適合性を確認し、申請する在留資格を決めなければなりません。

この判断には様々な解釈が存在する上に、情勢によって変化するため、国際業務を専門にする行政書士など専門家に相談をすると安心です。


また、在留資格認定証明書交付申請の提出書類は、外国人の招聘機関の規模によって異なります。

多くの場合、招聘機関は以下の図1にある、カテゴリー1から4に分類され、カテゴリー1の招聘機関が最も提出書類が少なくてすみます。

自社がどのカテゴリーに当てはまるのかを確認し、必要書類を準備しましょう。

在留資格認定証明書を申請するための書類は、法務省のホームページに提出書類一覧が掲載されています。

こちらで随時最新情報を確認することをおすすめします。

法務省ホームページ「在留資格認定証明書交付申請書」


出典:法務省ホームページ「在留資格認定証明書交付申請書」の7「【研究】・【技術・人文知識・国際業務】・【技能】・【特定活動(研究活動等)】・【介護】・【特定活動(本邦大学卒業者)】」より


3.在留資格認定証明書の変更と更新について

在留資格の変更や在留期間の更新は、出入国管理及び難民認定法により、法務大臣が適当と認める相当の理由があるときに限り許可することとされています。

この相当の理由があるか否かの判断は、専ら法務大臣の自由な裁量に委ねられ、申請者の行おうとする活動、在留の状況,在留の必要性等を総合的に勘案して行われますが、「在留資格の変更,在留期間の更新許可のガイドライン」(令和 2年2月改正)によると、以下の8つの事項が考慮されています。


  1. 行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
  2. 法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること
  3. 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
  4. 素行が不良でないこと
  5. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
  6. 雇用・労働条件が適正であること
  7. 納税義務を履行していること
  8. 入管法に定める届出等の義務を履行していること


在留資格の更新や変更申請を行う場所は、住居地を管轄する地方出入国在留管理局になります。

申請の標準処理期間は、2週間から1か月ほどとなります。

なお、在留資格の更新もしくは変更申請をして許可された場合、手数料として4,000円が徴収されます。

申請書類は、法務省のホームページに掲載されています。

こちらで随時最新情報を確認することをおすすめします。


更新の場合:法務省ホームページ「在留資格更新許可申請」
変更の場合:法務省ホームページ「在留資格変更許可申請」


4.まとめ

今回は総則的な部分として、在留資格認定証明書の申請や変更、更新方法についてお伝えしました。

ポイントは海外にいる外国人を呼び寄せるのが在留資格認定証明書の申請で、すでに日本にいて在留カードを所持している外国人が行う手続きが変更、更新だという事です。

また申請書類は在留資格の種類や招聘機関の規模によって異なるという事です。

今回は以上の事をおさえて頂ければと思います。

次回以降は各論として1つ1つの在留資格について見ていく予定です。


関連記事:

【行政書士監修】在留資格とビザ(査証)の違いを徹底解説!

【行政書士監修】在留資格「特定技能」の概要

【行政書士監修】在留資格「技術・人文知識・国際業務」の概要


【監修】呉 宗俊 (くれ むねとし)
国際サポート行政書士事務所 代表行政書士
東京都行政書士会 豊島支部 所属
東京都出身。国立台湾大学 国家発展研究所 国家発展学修士 修了。2009年より公益財団法人日本台湾交流協会の台北事務所(※ 在台湾日本大使館に相当する場所)にて3年間勤務。2014年に行政書士試験に合格し、同年に国際サポート行政書士事務所を池袋に開業。外国人の在留資格(VISA)、アポスティーユ、国際相続に関する手続きなどを専門とする。中国語、台湾語、英語での対応が可能。


LineNoteこのエントリーをはてなブックマークに追加LinkedIn