数字で見る日台関係:「日本人の台湾に対する意識調査結果 2023年」
2024年の台湾総統選は、日本を含む国際的な関心が寄せられました。日台友好や台湾有事など、これらのキーワードは一般的に日本人の台湾に対する関心を反映しています。毎年、台北駐日経済文化代表処が発表する「台湾に対する意識調査」の2023年版から、台湾人の雇用や台湾ビジネスに関連する状況をわかりやすくまとめました。観光地としての魅力から、ビジネスパートナーとしての重要性まで、数字で見る最新の日台関係をご紹介します。
「台湾に対する意識調査報告書」とは?台北駐日経済文化代表処を紹介
今年の「台湾に対する意識調査報告書」では、日本人の台湾に対する理解と認識を明らかにするために、日本人の訪台経験や日常生活から政治事情に至るまで、広範なテーマにわたって質問が行われました。
台北駐日経済文化代表処は、台湾の日本における外交の窓口機関です。民間の外交機関でありながら、実質的には大使館や領事館の役割を果たしています。2016 年からは、日本全国の20歳から89歳までの人々を対象にしたインターネットアンケート形式で、台湾に対する意識調査が継続的に行われています。
日本人が認識する台湾事情についての6つの観点
アジア諸国の中でも台湾に「親しみを感じている」
アジア諸国(台湾、中国、韓国、タイ、シンガポール、フィリピン、ベトナム、インド)の中で、台湾に対する調査において、約8割の回答者が「台湾人は親切で友好的」「歴史的な交流が長い」「経済的な結びつきが強い」を主な理由として、親しみを感じていることが明らかになりました。この傾向はコロナ禍以降も大きな変化は見られていません。
台湾に対する関心のあり方が様々
新型コロナウイルスに関連する出入国制限の緩和により、日本では海外旅行への関心が高まっている中、「台湾に行きたい」と回答した人は5割を超えました。その中で「食文化」「歴史文化」「自然風土」が常に「興味ある分野」の上位 3 つとなっています。また、最近のニュース報道によって、台湾の TSMC を含む半導体産業や、自由・民主主義を特徴とする政治的要素も注目されています。
台湾に行ったことがある日本人は4人に一人
全ての日本人が台湾を訪れたわけではありませんが、約 25% の日本人が台湾に行った経験があると推定されています。昨年は女優の川口 春奈氏が出演する「ビビビビ台湾」シリーズ CM や、台湾観光局が実施したキャンペーンなどが影響し、多くの日本人が台湾を訪れました。また、台湾に対して好意的な印象を持つ日本人は 98% に近い割合となっています。
一大注目は台湾の政治・経済事情
日本の Webメディアが勢いを増す中、インターネット(ニュースサイト、YouTube、ブログなど)が台湾に関する情報源となっています。台湾海峡情勢や台湾の半導体産業の動向など、様々な情報の他、特に台湾グルメに関する報道も注目を集めています。
日台関係は「前向きに発展する傾向」と捉えている
2016 年から 2023 年までの調査を年代別に分析すると、「日台関係が良い」「今後は日本と台湾の関係は発展する」といった回答が増加している傾向が見られます。この中で、「経済」「観光」「政治、安保」に関しては、今後日本と台湾が協力し、進展させるべき重要な領域として認識されています。
台湾と中国の関係性による影響も、より注視するべき
台湾は日本にとって、単なるアジアのシリコンバレーとしてだけでなく、地理的に中国と東南アジアに近く位置していることも、注目に値するポイントです。また、最近の総統選では民主進歩党の候補者である「賴清德氏」と「蕭美琴氏」が当選したことも大きな話題となりました。民主進歩党の政治理念が中国との対立を抱えているため、台湾と中国の複雑な関係は周辺諸国にどのような影響を与えるのか、今後も見逃すことができません。
台湾はもはや日本にとって観光地としてだけでなく、ビジネスパートナーとしての存在感を高めています。この数十年の間に、世界情勢も大きく変化し、台湾国内での雇用やビジネスの様相も発展を続けています。「台湾に対する意識調査」の 2023 年版から読み解けるような、日本と台湾の友好関係が今後も継続されることを期待します。